帯状疱疹について
帯状疱疹は、水ぼうそうのウィルス(水痘帯状疱疹ウイルス(VZV))の再活性化により発症します。
VZVに初めて感染すると水痘を発症し、その後、VZVは知覚神経節に潜伏します。加齢に伴い免疫機能が低下すると、VZVが再活性化し、帯状疱疹を発症します。50歳以上のVZV抗体保有率は100%であったとの報告もあり、50歳以上のほぼすべての人は帯状疱疹の発症リスクがあるといえます。
痛みや発疹があらわれ、体の一部にピリピリとした痛みがあらわれ、その部分に赤い発疹が出てきます。痛みは徐々に増していき、夜も眠れないほど激しい場合もあります。症状の多くは上半身にあらわれますが、顔や目、頭などにあらわれることもあります。
加齢に伴う細胞性免疫の低下とVZVの再活性化

*2001~2005年に国立感染症研究所により収集された全国の健康な日本人(0~82歳)の血清標本828検体の水痘帯状疱疹ウイルスIgG型抗体を測定。
Kimberlin DW. & Whitley RJ.: N Engl J Med. 356(13), 1338-1343, 2007 より作図
Ueno-Yamamoto K. et al.: Pediatr Infect Dis J. 29(7), 667-669, 2010
帯状疱疹後神経痛(PHN)
皮膚の症状が治った後も、痛みが残る事があり、3か月以上痛みが続くものを帯状疱疹後神経痛(PHN)とよびます。50歳以上の患者の5人に1人でPHNの発症が認められました。80歳以上の高齢の方では約3割の方で発症と発症率が高くなります。また、目や耳に帯状疱疹があらわれると、めまいや耳鳴りといった合併症がみられることがあります。重症化すると資料低下や顔面神経麻痺などの症状になる場合もあります。
帯状疱疹に関連する痛みの推移

帯状疱疹の疫学:年齢別発症率
国内における大規模調査は、「宮崎スタディ」と「SHEZスタディ」があります。
いずれの調査においても、帯状疱疹の発症率は50歳代から上昇し、その後70歳代でピークをむかえます。
80歳までに3人に1人が帯状疱疹を経験すると推定されています。

予防方法
① 規則正しい生活習慣
帯状疱疹の発症には、免疫機能の低下が関係していることが知られています。免疫機能を低下させる疲労やストレスのない規則正しい生活(バランスの良い食事と適度な運動)を送りましょう。
② 予防接種
ワクチンを接種して免疫の強化を図ろうというのが帯状疱疹の予防接種です。50歳以上の人は帯状疱疹の予防接種を受けることができます。
ワクチンには、生ワクチンと組み換えワクチンの2種類があり、国内で承認されていますが、接種回数や効果に違いがあります。
乾燥弱毒性生水痘ワクチン「ビケン」 | シングリックス筋注用 | |
用法 | 0.5mLを1回皮下に注射する | 0.5mLを2回、通常2ヶ月の間隔を置いて筋肉内に接種する |
予防効果 | 50%程度 | 89-97% |
予防期間 | 5年程度 | 少なくとも10年程度 |
接種費用 | 9,000円/1回 | 22,000円/1回 × 2回接種 |
帯状疱疹ワクチン接種費用の一部補助
2025年度について神戸市では、以下の一部補助が受けられます。
① 神戸市独自補助
対象者:満50歳以上60歳以下の方:1965年4月2日から1976年4月1日生まれの方
補助額:4,000円(1回)
2025年度定期接種・市独自補助の対象者(PDF:151KB)
② 定期接種
2025年4月から以下の方を対象として定期接種が開始となりました。
神戸市:帯状疱疹ワクチンの定期接種
対象者:
- 2025年度に65歳を迎える方
- 60歳以上65歳未満の方であって、ヒト免疫不全ウイルスにより免疫の機能に日常生活がほとんど不可能な程度の障害を有する方
- (経過措置として)65歳を超える方については、5歳年齢ごと(70、75、80、85、90、95、100歳)
- (経過措置として)101歳以上の方については2025年度に限り全員
2025年度定期接種・市独自補助の対象者(PDF:151KB)
定期接種の自己負担額
接種費用 (税込) |
|
---|---|
水痘生ワクチン | 4,000円×1回 |
帯状疱疹不活化ワクチン(シングリックス) | 10,000円×2回 |
ただし、以下のいずれかに該当する方は無料
- 生活保護世帯
- 市民税非課税世帯
- 中国残留邦人等支援給付制度受給者
接種券の送付:2025年度の対象者である方については、2025年4月下旬に接種券が送付される予定です。
定期接種の対象外の方:原則、過去に帯状疱疹ワクチンを接種された方は対象外(ワクチンの効果や既往歴等を踏まえて医師が必要と判断した場合は定期接種の対象となります)
シングリックスの場合には10年予防効果が持続するといわれています。
神戸市:帯状疱疹ワクチンの定期接種